「ちゃんと全部食べなさい」と言っていませんか?
こんにちは。あさです。
「野菜もちゃんと食べなさい」
「一口くらい食べてみたら?」
「好き嫌いしていたら大きくなれないよ」
子どもとの食事で、こんな言葉をかけたことはありませんか?
私自身、親として子どもの食事を見ていると、
「もう少し食べてほしいな」
と思うことがあります。
そして小学校教員だった頃も、給食をなかなか食べられない子どもたちをたくさん見てきました。
当時の私は、
「もう一口食べてみよう」
「少しでも食べた方がいいよ」
と声をかけることもありました。
もちろん、子どものことを思っての言葉です。
でも、子どもたちと関わる中で、少しずつ考え方が変わりました。
今、私が大切にしているのは、
「全部食べられたか」よりも、「食べてみようと思えたか」。
ということです。
今回は学校での経験も交えながら、子どもの好き嫌いや食べ残しに対して、家庭でどんな関わりができるのかを考えてみます。
好き嫌いが多い=わがまま、ではありません
まず知っておいてほしいのは、子どもが食べ物を嫌がる理由は「わがまま」だけではないということです。
例えば、
・味が苦手
・においが気になる
・食感が嫌い
・見た目に抵抗がある
・以前食べたときの嫌な経験が残っている
・初めての食べ物に不安を感じる
など、さまざまな理由があります。
大人にも苦手な食べ物がありますよね。
子どもならなおさらです。
だからこそ、
「なんで食べないの?」
と責めるところから始めるのではなく、
「この子はこの食べ物の何が苦手なんだろう?」
と考えてみる。
私は、そこが最初の一歩だと思っています。
私の考え方を変えた、ある子の「ピーマン一口」
教員時代の2年目、私の持ったクラスには好き嫌いの多い子がいました。
その頃の私は、
「少しは食べてみよう」
と声をかけ、全部食べられた子には、
「えらいね」
と褒めていました。
ですが、当時の関わり方では好き嫌いの多い子はなかなか食べる気にはなってくれず、
「食べられる子」と「食べられない子」がはっきりと分かれてしまっていました。
でも、それでは食べることが苦手な子にとって、
給食の時間そのものが苦しくなってしまうことがあります。
私のクラスは実際そうなっていました。
そんなある日、私の食への捉えを変えてくれる出来事が起こります。
その日、好き嫌いの多いその子が苦手だったピーマンを残そうとしていました。
すると、隣にいた子が嬉しそうに教えてくれたんです。
「先生!〇〇、今日ピーマン鼻つまんで一口食べてたんだよ!」
その子にとっては、たった一口。
でも私は、隣の子がその小さな一口にすごくポジティブな反応をしていることに
はっとさせられました。
そして気づいた時には
「一口食べてみたんだね。すごいじゃん!」
そう声をかけていました。
全部食べることができなくてもいい。
昨日できなかったことに、今日は少し挑戦できた。
そこに目を向けることの方が大切なんじゃないか。
この経験は、今でも私の中に残っています。
そこで私は、少しずつ見方を変えていきました。
全部食べることではなく、
昨日よりほんの少し挑戦できたことを見る。
そんな関わりを意識するようになりました。
家庭でも「完食」をゴールにしなくていい
家庭でも、
「全部食べた=よくできた」
「残した=ダメだった」
になってしまうことがあります。
でも、それだけで食事を評価しなくてもいいと私は思っています。
例えば、苦手なトマトを一口かじれた。
初めて見る料理を口に入れてみた。
嫌いな野菜を触ってみた。
料理を一緒に作った。
「今日は食べない」と思っていたものを少しだけ味見してみた。
これも全部、子どもにとっては「食」に触れる経験です。
食べた量だけを見るのではなく、
昨日より少し世界が広がったか。
そんな視点で食事を見てみると、大人も少し楽になれるのではないでしょうか。
家庭でできる5つの関わり方
では、具体的に家庭ではどう関わればいいのか。
ここでは5つの視点で皆さんに提案します。
① まず「何が嫌なのか」を聞いてみる
「食べなさい」の前に、
「これ、どんなところが苦手?」
と聞いてみます。
すると、
「味が嫌」
ではなく、
「ぐにゃっとするのが嫌」
「においが苦手」
など、意外な答えが返ってくることがあります。
理由が分かれば、調理方法を変えるなど、大人側で工夫できることも出てきます。
② 最初からたくさん盛らない
苦手なものがお皿いっぱいに入っていたら、それだけで嫌になる子もいます。
そんなときは、
「まずこれくらいにしてみる?」
と少量から始めてみる。
食べられたらおかわりすればいい。
そのくらいの感覚でいるとお互い気持ちが楽になります。
「食べ切れた」という経験をつくることも一つの方法です。
③ 「全部食べた」以外の成長を見つける
「全部食べたね!」
だけではなく、
「一口挑戦したんだね」
「昨日より食べられたね」
「初めてなのに味見してみたんだ」
と、変化を具体的に認めます。
ポイントは、
結果より挑戦を見ること。
小さな「できた」が、次の挑戦につながります。
④ 一緒に食事を作ってみる
食べることだけが食育ではありません。
野菜を洗う。
卵を割る。
料理を混ぜる。
盛り付けをする。
スーパーで一緒に食材を選ぶ。
こうした経験も、食べ物への興味につながります。
「自分で作ったから食べてみようかな」
という気持ちが生まれることもあります。
無理に食べさせるより、食べ物と仲良くなる機会を増やす。
そんな感覚で十分だと思います。
⑤ 食卓を「叱られる場所」にしない
そして、私が一番大切にしたいのがこれです。
「早く食べなさい」
「また残すの?」
「好き嫌いしない!」
毎日のように言われ続けると、食事そのものが嫌な時間になってしまうことがあります。
食事は栄養をとるだけの時間ではありません。
家族で話す。
今日あったことを聞く。
「これおいしいね」と笑う。
そういう時間でもあります。
だから、
「何をどれだけ食べたか」だけで、その日の食卓を終わらせない。
食事を安心できる時間にすることも、家庭だからこそできる大切な関わりだと思っています。
「食べられない」には、その子なりの理由があります
学校でたくさんの子どもたちを見てきて感じるのは、
子どもの行動には、私たち大人からは見えにくい理由があるということです。
これは宿題でも、掃除でも、話を聞くことでも、食事でも同じです。
できない姿だけを見て、
「やりなさい」
と言うのは簡単です。
でも、
「どうして難しいんだろう?」
と一緒に考えてみる。
そこから関わり方が変わることがあります。
保護者の皆さんへ
好き嫌いは、すぐに直さなくても大丈夫です。
今日食べられなかったものを、来週食べるかもしれない。
今は嫌いなものを、数年後には好きになるかもしれない。
だから焦らず、
「一口食べられたね」
「触ってみたね」
「一緒に作ってくれてありがとう」
そんな小さな変化を見つけてあげてください。
そして何より、
家族で食卓を囲む時間そのものを大切にしてほしい。
私はそう思っています。
まとめ|「全部食べる」より、「食べてみよう」を育てたい
子どもの好き嫌いを見ると、親として心配になることもあります。
でも、食事は毎日のことだからこそ、長い目で見ていいのではないでしょうか。
全部食べることをゴールにするのではなく、
新しい味に出会う。
食感を知る。
料理を作る。
家族と食卓を囲む。
そして、
「ちょっと食べてみようかな」
と思える。
そんな経験を少しずつ積み重ねていく。
食べることは、一生続いていくものです。
だからこそ私は、「今どれだけ食べられるか」だけではなく、子どもがこれからも食べることを楽しめるような関わりを大切にしたいと思っています。
今日の食卓でも、小さな「やってみた」が見つかったら、ぜひ一緒に喜んであげてください。



